業務委託に関するQ&A

 現在、美容師・理容師業界では「業務委託」(フリーランスとも言う)として働く方が多くなっています。しかし、業務委託契約が雇用契約とどのように違うのか、どのようなデメリットがあるのか、わかりづらくないですか?そこで、業務委託ではたらく美容師さん・理容師さんが直面しそうな問題について、Q&Aを作成しました。

   何か問題をお抱えの方は、是非美容師・理容師ユニオンまでお電話かメールでご相談ください。相談無料・秘密厳守です。

​〈目次〉

 

Q1 業務委託契約と雇用契約(労働契約)ってどう違うの?

 

:美容師の間で業務委託契約が増えています。でも実際、業務委託契約と雇用契約ってどう違うのかっていうのは意外と知られていません。簡単に言うと、業務委託契約は労働者ではなく独立した事業主として契約するというもので、雇用契約は労働者として直接雇用され、場所や時間や賃金(時給や月給)が決められ、その時間と場所で業務指示を受けながら労働者として働くというものです。

 事業主なのか労働者なのかというので大きく違うわけです。

 

Q2 業務委託のほうが自由って聞くけど本当?

:業務委託契約の方が、自由に働く時間を決められるというイメージが強いかもしれません。しかし、実際は契約の内容に左右されます。そのため、契約を交わす段階で、自由に働ける契約になっているかどうか気をつけなければなりません。例えば、美容師を指名した予約があるときだけ業務を行えばよいということになっていれば、予約があるときだけ勤務すれば足ります。とはいえ、実態としては、契約の内容は事業主が一方的に決め、美容師はその契約書を受け入れるだけという場合が多いです。また、業務委託契約書で、勤務時間を定めていることも多く、拘束が強い契約が多いのが実態です。

 

Q3 業務委託契約でも残業代は支払われるの?

:雇用契約では、就業規則や雇用契約書などにより、勤務時間が定められ(所定労働時間といいます)、その時間を勤務する義務があります。しかし、所定労働時間は8時間を超えることはできず、所定労働時間を超えて勤務した場合には、事業主は残業代を支払う義務があります。一日8時間を超えた場合、もしくは、一週間40時間を超えた場合は、その残業代の金額は、時給に対して、1.25倍の金額(割増賃金)としなければなりません。しかし、業務委託契約では、事業主は、残業代を支払う義務はありません。また、1日何時間働かせても、違法になりません。業務委託契約だと雇用契約であれば守られなければならない法律がなく、働かせ放題となってしまう実態があります。

 しかし、業務委託契約であったとしても、細かく業務指示を受ける、労働時間の拘束が強いなど実態が雇用契約であれば、残業代支払いや労働時間の規制が適用されます。「この働き方って業務委託っていうより労働契約では?」と思ったら美容師理容師ユニオンなどの専門家に相談することを勧めます。

 

Q4 業務委託契約では、いつでも仕事を辞められるんでしょう?

:業務委託契約では、美容師はいつでも契約を解約することができます。ただし、期間を定めていた場合や、不利な時期に解約する場合には、事業主に発生した損害を賠償する義務が生ずることがあります。また、逆に業務委託契約では、美容室(事業主)側も、いつでも契約を解約することができます。

一方で、雇用契約では、美容院側は従業員をいつでも解雇するということはできません。しかし、従業員側は、2週間前に予告をすれば、いつでも退職することができます。雇用契約では、退職したことをもって、従業員が損害賠償する義務を負うことはありません。

 業務委託契約の方がいつでも仕事を辞められるような気がしますが、損害賠償を受けるリスクが高く、実は雇用契約の方が退職の自由が広く認められています。

 

Q5 業務委託契約の場合、税金や保険はどうなるの?

:業務委託は、個人事業主として自ら確定申告を行い、税金(所得税、個人事業税、地方税、消費税など)を支払わなければなりません。また、社会保険も、自ら国民健康保険、国民年金に加入し、国民健康保険料、年金保険料を支払う必要があります。

雇用では、使用者(雇用主)が、従業員が支払うべき税金相当額を給与から天引きし、従業員に代わって税務署に支払います。雇用契約では、原則として事業主が社会保険に加入し、社会保険料、厚生年金保険料などを給与から天引きして支払います。このとき社会保険料、厚生年金保険料の2分の1相当額は、事業主が負担します。

 雇用契約だと厚生年金に加入できるので、その分将来もらえる年金の額が高くなります。

 

Q6 業務委託契約のほうが稼げるって聞いたけど?実際のところどうなの?

 

​A:雇用契約の場合、社会保険料や住民税は給料から天引きされるため、手取りが少ないように感じますが、業務委託契約では、社会保険は自ら加入し、保険料を支払う必要があり、実質手元に残るお金は同じくらいです。

 むしろ雇用契約の場合、消費税や個人事業税を支払う義務はありません。

また、収入については、業務委託契約では、残業代やボーナスが支払われず、また、一定の収入や所得(収入から経費を控除した残額)がある場合に、消費税や個人事業税を支払う義務が生じます。

業務委託契約は一見、収入が多いように見えますが、実際は税金や保険料など含まれていることとなります。また、1日12時間労働という長時間での契約が多く、そうすると時間外(残業代)や深夜割増賃金がつかないことから、時給換算した場合の単価が低いことになります。結論から言いますと、業務委託契約は高く見えますが、雇用契約と比べると割に合わないということが多々あります。

 

Q7 業務委託契約なんだけど、はさみでお客さんの顔を傷つけてしまった。美容院からその損害を支払うよう言われたけど、払わなきゃいけないの?

顔を傷つけてしまい、一定の治療が必要になったような場合、その治療費や治療のための交通費、治療にかかった期間の慰謝料、治療のためお客さんが仕事ができなかった場合には休業損害などを賠償する義務が生じます。

また、仮にお客さんに治療することができない後遺症が残った場合(後遺障害)、後遺障害による慰謝料や、後遺障害により将来得られたであろう収入の差額を支払う義務が生じることもあります。

お客さんは、通常、これらの損害を、従業員と美容院の双方に請求することができます。

雇用の場合、美容院がこの損害を賠償した場合、原則として従業員にその金額を請求することができませんし、従業員がお客さんにその損害を賠償した場合、美容院にそのお金を払うよう求めることができます。

しかし、業務委託契約では、美容院がこの損害を賠償した場合、原則として美容師にその金額を請求することができます。また、美容師がお客さんにこの損害を賠償した場合、美容師が美容院に請求することは原則としてできません。

これは、業務委託契約の場合、独立した事業主である美容師自身の責任が重く、雇用の場合、従業員を使って利益を上げている美容院の責任が重いからです。

 

Q8 雇用契約だったんだけど、美容院から突然、来月から業務委託契約でやってくれと言われた。これって従わないといけなにの?

 

​A:雇用契約から業務委託契約に移行するというのは、従業員を解雇することになりますので、原則として許されません。他方で、美容師が雇用契約を終了し、業務委託契約にすることに合意すれば、このような変更も可能です。

業務委託契約では、雇用契約に比べて美容師の地位は不安定であり、業務委託契約に変更することについては、慎重に検討したほうが望ましいです。

業務委託契約に変更することを望まない場合は、変更しないということを明確に回答してください。仮に、美容院から解雇などの措置がとられた場合には、それが合理的な理由がなければ違法、無効であり、働き続けることができます。

 契約の変更を迫られた時は、合意せず、専門家に労働相談をすることを勧めます。

 

Q9 業務委託契約だけど、実態は雇用のようだ。残業代は請求できる?

:業務委託契約だけども、実際は業務指示が細かくあり、労働時間の拘束力が強いという場合、実態としては雇用契約と判断され、労働基準法などが適用される可能性が高いです。働いている実態が業務委託か雇用か、という判断はそれぞれのケースごとに考えなければいけません。当ユニオンや専門家にご相談ください。

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