失業すると受け取ることができる雇用保険の失業手当ですが、離職理由を「自己都合退職」と判断されてしまうと2ヶ月間の「給付制限期間」が課され、その間失業手当を受給することができません。離職理由の判断は、会社が発行する「離職票」にどのような記載がされているかによってまずなされるため、この離職票に会社がどのような記載をするかが非常に重要です。
◆会社都合退職とさせることで円滑な失業手当の受給を
某飲食店では、2020年4月の緊急事態宣言以降休業や時短営業が実施され、そこで働くアルバイトのAさんは大幅なシフトカットがされていました。またもともと週36時間の契約で働いていたAさんでしたが、会社は「労働契約を週30時間にしてほしい、この内容での契約で合意できなければ契約更新はしない」と労働条件の不利益変更を強行しようとしました。
Aさんは飲食店ユニオンに加入し団体交渉を行った結果、4月以降の休業・シフトカット分の給与の100%補償を勝ち取るとともに、12月末日付けの退職に応じながら、離職票の離職理由の欄に「退職勧奨による」との記載をさせました。会社からの退職勧奨に応じた退職は「会社都合退職」と認定され、給付制限期間なしに失業手当を受給することができます。Aさんは1月から失業手当を受給することができるのです。実際の経緯からしても、「不利益変更に応じよ。でなければ契約を打ち切る」というものであり、これが自己都合退職扱いされてはあまりに不合理でしょう。
◆飲食店ユニオンへお気軽にご相談を
このように、労働組合で離職票の記載の仕方についても交渉することで、失業手当の受給をしやすくすることができます。実際の離職の経緯・理由がどうあろうとも、企業が離職票に自己都合退職扱いの記載をするケースは非常に多くあり、その結果、実際には会社都合退職と扱われるべきなのに自己都合退職扱いで給付制限期間が課されてしまうケースが多くなっています。会社と交渉することで実際の離職の経緯・理由通りの記載をさせ、失業手当を適切に受け取ることが労働組合にはできるのです。ぜひご相談いただければと思います。
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