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執筆者の写真union2000seinen

出前館のデリバリーアルバイトが不当なシフトカットを受けた問題について団体交渉申し入れシフト労働者の不安定さと立場の弱さが浮き彫りに


 コロナウイルスの感染が広がる中、飲食のデリバリー需要が急拡大しています。そんな中、業界大手の出前館で働くデリバリーアルバイトが不当なシフトカットを受ける問題が発生し、飲食店ユニオンはシフトカット分の補償と不安定な労働時間契約の是正を求め、団体交渉を申し入れました。


不足現金50円の補填拒否でシフトカット!!?


Hさんはアルバイトを複数掛け持ちしながら働く非正規労働者です。コロナ禍で仕事がなくなる中、Hさんは昨年10月から出前館でデリバリーアルバイトとして働き始めました。面接では週3日〜4日ほどの勤務するということになりました。

 10月には7日間シフトに入り、11月に入るとさらにシフトは増え10日間勤務しました。しかし、11月の半ばにHさんが釣り銭用の現金が50円不足しているという事態が起きました。すると社員から不足分を自腹で補填するようにとHさんは指示をされました。不足についてはアルバイトが補填するのが「ハウスルール」だと説明されたのでした。

 レジ金の違算金など、業務上発生し得るリスクについて業務上の経費であるとして、労働者ではなく事業主が負担すべきというのが裁判判例などの定説です。故意に損害を与えていない限り、アルバイトに損害賠償責任は発生しません。

 このことを知っていたHさんは現金の不足分50円の自腹補填を拒否しました。すると、翌月からシフトが大幅に減ってしまいました。11月には10日間勤務していましたが、12月には、わずか4日間に減り、1月はシフトがゼロでした。

 あまりにも不自然なシフトの減り方であり、自腹補填の拒否が影響したものと思われます。(追記:会社の主張では、シフト提出時間が原則通りのもの出なかったことや、シフトの提出期限に間に合わなかったため、シフトが入っていないとのこと)


「シフトによる」という労働契約の危険性


Hさんの労働契約書(労働条件通知書)をみると、所定の労働時間については「11時〜21時のうち8時間以内(シフト勤務表による)」とのみ記載されています。この「シフト勤務表による」という箇所がミソです。このような書き方にすることで、労働時間が固定されず、毎月変動してしまう、あるいは変動させられてしまうのです。これがシフト労働者が不安定な働き方と言われる実態です。結局、使用者側の都合や思惑で労働時間が自由に操作されてしまいます。

 そして、今回のHさんのように、自腹補填を拒否したら、シフトを減らされてしまう事態に繋がるかもしれないと。社員や上司に文句を言おうものなら、シフトが減らされてしまうかもしれない、そうすると収入も減り、生活ができなくなるかもしれない。シフト労働者は、このような恐怖や躊躇いの中、不当な指示や労働条件についてもなかなか声を上げることができません。


シフト減に対する補償と契約書の労働時間の確定を求めて


 今回の団体交渉ではシフト減に対して、本来なら働けていた労働時間についての賃金補償を求めています。また、契約書についても「シフトによる」となっている点を面接の際に話していた「週3日〜4日」と明記するように求めています。

 出前館との交渉を通して、シフト労働者の不安定な状態を改善していきたいと考えています。

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